明らかに、母の様子がどこかおかしい。
会話が成り立っているようで、成り立っていないような……
そんな不思議な違和感がありました。
父に様子を尋ねてみると、
「最近ずっとこんな感じや」とのこと。
もともと、仲が良いとは言えなかった二人。
だからこそ、父の言葉にもどこか他人事のような温度を感じてしまいました。
そんな中で、私はひとつの“異変”に気づきます。
母はキッチンの壁を指差して、こう言いました。
「ほら、あそこの壁。お父さんが作った人形がいっぱいあるやろ。気持ち悪くてしょうがないのよ」
え? 何のこと? そんな人形、どこにもありません….
さらに、廊下の床を指差して一言。
「バイクに乗った人が、またここで派手に走ってるわ」
……ん? 何を言ってるんだ?
最初は冗談かと思って、
「うんうん」と聞き流していたのですが、
だんだん話がかみ合わなくなっていきました。
それでも母は、必死に何かを訴え続けてくるのです。
そしてその発言は、日を追うごとにどんどんエスカレートしていきました——。

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