このころの私は、考えることといえば、
母の病院のこと。
母の病気のこと。
認知症のこと。
遠距離介護が始まっていた。
実家に向かうたび、胸の奥に重いものが沈んだ。
こんな気持ちになるなんて、今まで一度もなかった。
新幹線の中、憂鬱な気持ちは、積もるばかりだった。
「母がおかしくなっていたら、どうしよう、、、」
同じ言葉が、何度も頭を巡った。
最初のころ、私はまだ、認知症を疑うことすらできなかった。
変わっていく母の言動に、ただ対応するのが精一杯だった。
そして、時はコロナ真っ最中。
世の中が止まったような時間の中で、
私には、「介護」という現実が始まっていた。
楽しみだったことは、少しずつ消えていった。
感情を無にしていたことだけを、今もはっきり覚えている。
そんなとき、
20代から通っていたサロンで、カラーセラピーと出会った。
ふと、受けてみた。
すると――
強烈なオレンジ色と、澄みきったクリアの色が、
私の目に飛び込んできた。
「この2色が、私に伝えようとしていたものとは――。」

コメント