「たったこれだけのこと」が不安になる──認知症介護で心が揺れる日々

介護と心の記録

認知症ってどんな病気なんだろう。
これから母はどうなっていくのだろう?
もう、以前のようには戻らないのだろうか……。

そんな思いが毎日、頭の中をぐるぐると巡っていました。
父が当時どう思っていたのかは、今でもよくわかりません。

ただ、感情をあまり表に出すこともなく、
静かに、そして淡々と母を見守るように接していたのが印象的でした。

ある日、母の様子が気になり、
翌日、実家に帰省しようと決めて前日に電話をかけました。
……が、電話がつながりません。

「え?どうして?」

不安が一気に押し寄せてきました。
母はガラケーを持っていたものの、最近はほとんど使えていない状態。
そして父は、数年前に携帯を解約し、持っていません。
つまり、実家にいる二人には、連絡手段が“家の電話”しかないのです。

そんな「たったこれだけのこと」が、当時の私には
大きなストレスでした。

想像がどんどん膨らんでしまい、
何かあったのではないかと怖くなって、
不安と焦りで、胸がざわざわして止まりませんでした。

そしていつの間にか、自分までおかしくなりそうな感覚に――。

認知症の介護は、
本当に些細なことが心に波紋を広げて、
日常を不安定にしていきます。

それでも、私たちは向き合っていくしかない。
それが「介護する家族」の現実なのかもしれません。

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